迷える子羊たちは、今日も懺悔にいらっしゃいます。
懺悔とはつまるところカウンセリングなのだと私は思うのです。これは宗教者として、シスターとしての私の意見ではなく、心理学的見地からの解釈です。人間誰しも罪の意識を背負って生きていらっしゃいます。自分の幸せを得るために、どこかで誰かの幸せを踏みにじっているものなのです。それを言葉にすることで正く認知し、その人の苦しみも正しく背負って、より幸せになるための一つの形が懺悔なのでしょう。
主よ、私は懺悔を受けながら、私、清華みのりは罪を犯してしまいました。
ここにそれを告白いたします。
先日金曜日でした。その日も迷える子羊様がいらっしゃいました。
その方は何時も気さくに声をかけてくださり、シスターの間でも人気の高い方です。神にお仕えする身として「人気が高い」なんてのもおかしな話でございます。ただ、教会の雑事などを毎回進んで引き受けていただけるのには、私どもも大変感謝しております。
もしかしたら、と思わなくはありません。洗礼を受ける前の女学生だった私ならば、きっと彼のような素敵な男性と関係を築いていたことでしょう。
ただ、少し不可解でもございました。シスターと言っても所詮は女同士。不謹慎な話ですが、どうしても女同士で生活しておりますと悪口合戦になるものです。ですのに、彼のことを悪く言う人が、本当に一人もいないのです。どんな美男子であれ、どんな名士であれ、流言飛語の一つや二つあるものですが、彼には本当にそれがありません。そこだけには違和感を感じてはおりました。

「吉岡様。ようこそいらっしゃいました。本日はどういたご用向きで?」
「今日は懺悔に参りました。」
「かしこまりました。では告解室の方へ。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。でも吉岡様のような方でも懺悔なさることがあるんですね。」
「私なんてまだまだですよ。特にシスターさんのような可愛らしい女性を前にすると、ね。」
「またまた、ご冗談を。」

こういった会話のアイスブレイクのうまさは流石だと感じ入ります。捉えようによってはセクハラになりかねない発言でも、彼からはそういったものは感じません。だからこその人気なのだでしょう。
「さて、本日はどうなされましたか?」
「….実は、先日、見てはいけないものを見てしまいました。」
私の中で警告音が鳴り響きます。「見てはいけないもの」。戒告室でそういう言葉が出てきた時は犯罪に結びついてしまうことがありがちなのです。例えば信じていたパートナーが虐待していたり、同僚が会社のお金を横領していたり。そうなると宗教で対応する範囲を超えてしまいます。
一つ、呼吸をおいて、話を続けます。
「見てはいけないもの。それはどういったものでしょう?」

これもシスターとしてのテクニックです。「どういったもの」と言うふうに問うことで、抽象的な答えを許しているのです。あまりに聞くに耐えない、言うに耐えないことはぼかしていってもらい、徐々に革新に近づけていきます。
ですが、そのような気遣いは無用だったようで、彼は話しはじめました。
「先週の会合の後です。」
「あ、クリスマスのうち合わせの会合の時ですかね。」
「そうです。私、あの後、以前から頼まれていた教会裏の倉庫の片付けをしていたんですよ。」
「あれ、吉岡さんだったんですね。ありがとうございます。ずいぶん綺麗になって使いやすくなりました。」
「いえいえ。で、ですね。実はその前の日が仕事で忙しくてほとんど寝てなかったんですよ。それでちょっと休憩しようとしたところ、そのまま寝入ってしまったんです。」
トクン。私の心臓が確かに音を立てました。
いや、そんなはずは…..

「ふと、目を覚ますともう夜も更けておりまして。すると、入口の方から何やら人の気配がするんですよ…。」
….ああ、もう間違いない。
ほんの数秒前まではわずかな不安だったものが、革新的な恐怖に変わりました。
「あの、…見られてたん…ですね…。」
「はい…..見てしまいました。」
シスターといえども、所詮は霊長類ヒト科のメスなのです。いくら主に仕えているといっても、抗い難い欲求はございます。それを倉庫の片隅で解消するのはシスター同士で知ってはいても黙認する。そう言うものでした。
どのような方でも、懺悔には慣れていたつもりでした。相手がうんと年上の方でも、必ずその悩みを解決する手段が聖書に書かれております。つまるところ、懺悔を受けると言うことは聖書を高速で検索することなのです。
しかし、手淫を見られたと言う事実が、私の弱い心を揺すぶります。そして私は初めて言葉に詰まってしまいました。
そんなことが噂にでもなってしまえば、私は教会から追放されかねません。教会以外に生き方を知らない私にとって、それは死刑宣告に等しいものなのです。

「……………」
「どうしても、あの美しい光景が脳裏から消えないのです。」
「…………..」
「何をしていても、あの光景が思い出されてしまいまして、何をやるにしても手につかないのです。」
その一言に、私はあろうことか安堵してしまいました。ひょっとするとこの方は私を告発しようとしているのではないのでは、と。
そんなことに、私は一縷の望みをかけてしまいました。
「それで….どうなさりたいのでしょうか?」
「もう一度、見せてはいただけませんか?シスターさん。いえ、みのりさん。」
「…….分かりました。でも……」
「わかってます。絶対に他言は致しません。ここにいらっしゃるのはシスターの清華みのりさんではなく、みのりさんと言う美しい一人の女性だと、わかってます。」
私にそれ以上抗う術はありませんでした。今思えば、私のような小娘は彼のような大人には簡単に転がせる存在だったのかもしれません。
「じゃあ…..あの…..」
私は震える手を握りしめて立ち上がりました。
「じゃあ、その….脱ぎましょうか….。」
「お願いします。」

スカプラリオを取り去ると、もはや頭につけているウィンプル以外はどこにでもいる普通の女性になってしまいます。
ウィンプルを外さなかったのは、当時の状況を再現してほしいという彼の欲求に応えたものでもありますが、最後までシスターでありたいと言う私の意地でもございました。
「シスターさん、可愛い服着てるんですね。」
「ありがとうございます….。」
「あの…やっぱりこれも….」
「はい、お願いします。」
わかっていた話ではあるが、やはり下着姿になるのは避けられませんでした。
シャツとスカートを脱ぎ去る中、彼の荒い息遣いは聞こえてきましたが、どのような表情をされているのか、とうとう見ることは叶いませんでした。

「これで…..全部です…。」
「すごく可愛らしい下着ですね。」
「ありがとうございます…..」
「もうこの姿だけでも召されてしまいそうなのですが、この先もお願いします。」
「…でも….」
吉岡さんはそこで意外な行動にでられました。
「お願いします。どうしても、どうしても見たいんです。」
頭を擦り付けて懇願される子羊に、私はなすがままにされてしまいました。
「じゃぁ、ブラ、とりますね」
正直、ブラが必要なほどのサイズ感ではない私の乳房は、それでも、それだからこそ、私の羞恥感情を最大限まで高めてしまいました。もはや正常な判断ができる状態ではございませんでした。

「可愛いです。すごく可愛いです。」
もはや許可をとることもなく、彼の手は私の乳房に伸ばされます。
ひとしきり撫でられたあと、その手はそのまま下に下ろされました。
「あの、….ここだけは….」
もはや私の声は彼には届きません。
「ダメっ!見ちゃダメ!!」
「すみません。どうしても…」
「ダメ!!お願い!!見ないでぇえええええっ!!!!!」

もはや、シスターとしての振る舞いはかなぐり捨ててしまっていました。
彼の手がショーツの中へ入り込むまで、私は必死に抵抗を試みました。ですが、彼の手は容赦なく私の恥部へと伸びます。
「もう…こんなに濡れて….」
「ごめんなさい!!見ないでぇえええええ!!」
「こんなに濡れているのに?」
「言わないでぇえええ!!!」
吉岡さんの要求はさらにエスカレートします。
「では、そのままオナニーしていただけますか?」
もうこの状態でも十分以上に恥ずかしいのです。ですが、さらに彼はこれ以上ない恥を要求しするのです。
「いやぁぁ…….。」
泣き喚いても無駄なことは知っています。ですが、止めることはできませんでした。
ひとしきり泣いたあと、私は観念してその場で手淫することにしました。

「…これがみのりさんのオナニー姿…..」
「…うぅ…..こんなの嫌です…..」
「とても素晴らしいです。」
「やめてぇぇ….みないでぇえええええ!!」
彼が私の痴態を、いつの間にか取り出されたスマホのレンズ越しに見つめているという事実が、さらなる興奮を呼んでしまいます。
罪深いことに、私は倉庫で一人で励んでる時より、さらなる興奮を感じてしまいました。いつもより時間がかかることなく、果ててしまいました。
「はぁ…はぁ…」
「すごかったです。ありがとうございます。」
「はぁ…はぁ….」
「それでは…..私も…..」
私はようやく彼が全裸になっていることに気がつきました。
すでに臨戦態勢となっている彼の分身を見て、思わず顔を背けてしまいます。
「あ…..あの….まさか…..」
「どうかしましたか?」

「その….これ以上は約束と違います…..」
わかっております。結局のところ動画で脅されたら、私はなすがままなのです。その時点で運命は決まっておりました。私の処女はここで散るのだと言うことはわかっておりました。
「シスターさん。いや、みのりさん。」
彼はシスターではなく、私に語りかけます。
「これ以上に、もっとすごく気持ちよくなれるんですよ….」
確実に用意されたムチの前に飴を差し出されて、もはや私は彼のことを愛おしくさえ感じてしまいました。
しかし、そこに一瞬、主の姿が頭をよぎったのです。何を差し置いても私の処女は主に捧げなければならないものなのです。

逃げ出そうとして背を向けたことが、彼をさらに刺激してしまったのかもしれません。
「では、いきますよ」
彼の言葉に振り向いたときには既に遅く、私は倉庫の中に押し倒されました。
「いや…ダメッ…」
「すみません!!みのりさん!!どうしても我慢できないんです!!!!」
彼の剛直は私の膣に突き入れられています。

「いやぁあああああっ!!!!!」
私は絶叫しました。
「痛いぃぃっ!!!!ダメッ!!止めてぇえええ!!!」
私は彼に組み伏せられながら泣き叫ぶことしかできません。
「あぁ…最高ですっ…..みのりさん!!」
「いや!!やめてぇええ!!!」
もはや抵抗などできようはずがありません。
「ダメです!!本当にダメェええええ!!!!」
「すみません!!もうダメです!!」

彼の腰の動きが激しくなります。
「いやぁぁぁあああああ!!!!」
私の叫び声は教会内に響き渡ります。ですが、教会にいるのは私たち二人だけ。静寂の中にただ虚しくこだまするのみでした。
彼はもちろん、罪人です。が私もここで大いなる罪を犯してしまいました。そこで私が感じていたのは、例えようのない、快感だったのです。
「吉岡さん….もっと….」
私が何を言いたいのか、伝わったようでした。もはや、私は獣のように快楽に身を委ねるしかありませんでした。

「あぁ…いいです…..みのりさんっ!」
「あぁ…吉岡さぁん!」
私たちはお互いを呼び合いながら腰を打ち付け合います。
「もう…ダメ…出ちゃうっ!中に出すよ!?」
「出してぇえええええ!!!」
彼が絶頂に達したのと同時に、私は果てました。
「あぁぁぁぁっ!!!」

彼が射精する時の表情はどこか苦悶に満ちているようにも見えましたました。
中に出したものを抜いた後も、彼も意外だったようですが、まだ出しきれていなかった制御できないものが私の表面にも注がれました。
我に帰った彼は、こう、囁きます。
「すみません。実は、他のシスターさんたちから相談をいただいていたのです。みのりさんがあまりに寂しそうなので埋めてくれないかと。」
「あまりに信仰心が強くて、頑ななので、性の喜びも知らぬままにいるのはあまりに不憫すぎる。と言うことで一芝居、打たせていただきました。」

さして驚きはありませんでした。むしろ、全てが腑に落ちた、といった感覚でした。なんとなくは感じておりました。修道女といえども所詮は生き物です。当然、性的な行為は禁止されておりますが、だからこそ中世ではそういった行為の場だったとの話もあります。
次に続く、言葉は、私にとってあまりに意外なものであり、ただ、自然にでてきた言葉でした。

「また、明日も来てくれますか?」
「喜んで!」